大河ドラマ『べらぼう』に登場した万次郎役の青年が、放送直後からSNSで話題を呼んでいる。
「誰、この美しい人?」「所作がまるで舞台のよう」と視聴者の目を奪ったのは、若手歌舞伎俳優の 中村莟玉(なかむら かんぎょく)。
彼は梨園出身ではなく、一般家庭から歌舞伎の世界へ飛び込み、人間国宝・中村梅玉の部屋子として育った“異色の新星”。
その凛とした立ち居振る舞いと繊細な演技は、まさに“見つかってしまった才能”と称されている。
そこで今回は、
中村莟玉の「2歳の出会い」から始まった歌舞伎への道
中村莟玉の師・梅玉との絆と“部屋子”としての修行
中村莟玉の『べらぼう』で見せた新境地
3つの観点から迫っていきます。
それでは、早速本題に入っていきましょう。
中村莟玉の「2歳の出会い」から始まった歌舞伎への道

中村莟玉が歌舞伎に出会ったのは、わずか2歳のとき。
母親の趣味だった歌舞伎のテレビ中継に夢中になり、親子で観劇に訪れたことが始まりだったという。
新橋演舞場で『切られ与三郎』を真似て遊んでいた幼い彼を見つけたのは、舞踊家の花柳福邑氏。
「お芝居が好きなの?」と声をかけられたその一言が、運命を変えた。
やがて松竹関係者の目に留まり、人間国宝・四代目中村梅玉のもとを訪ねることになる。
当時7歳の少年は、まだ“歌舞伎役者は特別な家に生まれた人”と思っていた。
それでも「この世界で生きたい」という純粋な情熱で、梅玉の楽屋を訪ね続けた。
そして2006年、9歳で「中村梅丸」を名乗り、憧れの舞台に立つ――。
中村莟玉の師・梅玉との絆と“部屋子”としての修行

師匠・中村梅玉の教えは厳しく、そして温かかった。
「歌舞伎の世界では、いつでも“おはようございます”ですよ」と教わった少年は、その一言を胸に刻んだという。
部屋子として過ごす日々は、礼儀・所作・言葉遣い――すべてが学びの連続。
鼓や日本舞踊などの稽古を重ね、立ち姿や手の動きに“品”を宿すようになった。
その努力が今、テレビ画面の中で“所作の美しさ”として結実しているのだ。
梅玉が「1年で飽きると思っていた」と語るほど、莟玉の情熱は途切れなかった。
やがて信頼を勝ち取り、2019年には正式に梅玉の養子となり「中村莟玉」を襲名。
名跡の重みとともに、次代の歌舞伎を担う存在として歩みを進めている。
中村莟玉の『べらぼう』で見せた新境地

そして2025年、大河ドラマ『べらぼう』に出演。
万次郎役として登場した瞬間、その立ち姿と目線、動作のひとつひとつが「まるで舞台のように美しい」と話題をさらった。
これまで舞台上で磨いてきた所作や息遣いが、映像の中でも活きる。
派手な演技ではなく、静かな情感で心を掴む――それが莟玉の持ち味だ。
SNSでは
「あの人の目の動きだけで感情が伝わる」
「所作が完璧すぎて、時代劇が引き締まる」
と称賛の声が続出。
歌舞伎の美とドラマのリアリズム、その両方を自在に操る若手俳優が、ついに世間に“見つかってしまった”瞬間だった。
まとめ
一般家庭から歌舞伎界に飛び込み、修行を重ね、いまテレビドラマで新たな光を放つ――。
中村莟玉の歩みは、まさに“伝統を受け継ぎながら、未来を開く”という日本芸能の理想そのものだ。
その佇まいには、幼いころから磨き続けてきた「礼」と「美」が宿る。
大河での活躍をきっかけに、彼の名前はきっとさらに多くの人の心に刻まれるだろう。
次にどんな舞台で、どんな役で魅せてくれるのか――今後の一挙手一投足が待ち遠しい。
それでは、ありがとうございました!

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