昭和から平成にかけて数々の名作に出演し、特にドラマ『太陽にほえろ!』で“山さん”刑事を演じたことで国民的な人気を得た俳優・露口茂さん。
温厚で知的な役柄から人間味あふれる演技まで幅広くこなし、多くのファンに愛されてきました。
しかし1990年代半ばを最後に、第一線からは静かに身を引きました。
その背景には、長年にわたる俳優活動をやり切ったという達成感と、年齢を重ねたからこそ見えてきた人生観の変化がありました。
本記事では、露口茂さんの引退の理由と心境、そしてその後の余生について丁寧に振り返っていきます。
そこで今回は、
露口茂の『太陽にほえろ!』での不動の存在感
露口茂の引退の決断と心境
露口茂の引退後の生活と余生への歩み
3つの観点から迫っていきます。
それでは、早速本題に入っていきましょう。
露口茂の『太陽にほえろ!』での不動の存在感

露口茂さんといえば、1972年から放送が始まった刑事ドラマ『太陽にほえろ!』の“山さん”こと山村精一刑事役が代表作として知られます。
1972年から1986年まで実に14年間レギュラーを務め、合計691話という長期出演を果たしました。
主人公・石原裕次郎さん演じるボスを支える知性派刑事として、物語を安定させる役割を担い、若手刑事たちとの世代を超えた交流も描かれました。
露口さんの存在感は、派手さよりも“確かな安心感”を与えるもので、視聴者から「山さんがいるから物語が引き締まる」と評価されました。
『太陽にほえろ!』の成功を支えた立役者のひとりであることは間違いありません。
この作品を通じて、露口茂という俳優は“縁の下の力持ち”としても強い印象を残したのです。
露口茂の引退の決断と心境

そんな露口茂さんが引退を決断したのは、1995年公開のジブリ映画『耳をすませば』で声優として出演した後のことでした。
猫の男爵・バロンの声を担当したこの作品が、俳優として最後の活動となります。
その後は舞台や映像作品への出演を控え、表舞台から完全に姿を消しました。
2013年の雑誌インタビューでは、「復帰するつもりはない」と本人が明言。
さらに、俳優仲間や関係者の証言によれば「今の時代には自分が演じたいと思う役がない」という思いを抱いていたとも言われています。
つまり、演技を続ける気力や体力が尽きたわけではなく、役者としての矜持が引退を選ばせたと考えられます。
また、長年にわたり第一線で活躍し続けてきたことで「やり切った」という達成感も大きかったのでしょう。
病気や不祥事といったネガティブな理由ではなく、自らの意思で幕を下ろす姿は、まさに露口茂さんらしい潔い生き方といえます。
露口茂の引退後の生活と余生への歩み

引退後の露口茂さんは、メディアに姿を見せることはほとんどありませんでした。
東京都内の自宅で家族と共に穏やかな日々を過ごし、芸能界の喧騒から距離を置いた生活を選んだといわれています。
俳優業から離れて以降は、再び表舞台に立つことはなく、時折ファンやマスコミからの取材依頼も断っていたとのこと。
露口さんにとって引退は単なる“仕事をやめること”ではなく、自分の人生を静かに楽しむための選択だったのでしょう。
彼の選択には、長年役者として走り続けてきた人間が最後に求める「心の安らぎ」が表れているように感じられます。
『太陽にほえろ!』という国民的ドラマで多大な功績を残した露口さんにとって、これ以上華やかさを求める必要はなく、家族と共に穏やかに過ごすことこそが理想の余生だったのだと思われます。
まとめ
露口茂さんの引退理由は、体調不良や不祥事ではなく、「演じたい役がない」「やり切った」という俳優としての誇りと人生観に基づいたものでした。
『太陽にほえろ!』で不動の存在感を放ち、ジブリ作品『耳をすませば』を最後に役者人生を終えた彼の選択は、多くのファンにとって寂しいものでしたが、同時に尊敬を集めるものでした。
名優が静かに舞台を去り、家族と共に余生を楽しむ姿は、俳優という職業の“理想的な幕引き”のひとつかもしれません。
露口茂さんの歩んだ道は、今も多くの人の心に刻まれ続けています。
それでは、ありがとうございました!
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